ラビ、ユウ、リナリー幼馴染捏造文・・・・細かい部分はつっこんじゃいやん!


「ジジィ!!ジジィーーーーっ!!」
「なんじゃい!!うるさいわ小僧!!」

ゴンッという音と共に大袈裟に頭をかかえる男の子が一人。
クルンと毛先が跳ねて、オレンジの髪をした男の子の目には少し涙が浮かんで恨めしそうに、自分を叩いた張本人であり師匠のブックマンを見上げる。
そんな視線をまったく意に介さず、静かな表情で新聞を読むブックマン。

むーとむくれていた男の子=ラビはハッと用事を思い出しブックマンに飛びつく。

「ジジィ!!ジジィ!オレの歯ブラシ出してさ!!」
「もう寝るつもりか?」
「違うんさー!!コムイが歯ブラシ持って、執務室に集合ー!!って!」

ユウもリナリーも来るから、早く早く〜!とユサユサとブックマンの腕を揺さぶる。
腕をつかまれて、少しめんどくさそうに「ちょっと待っとれ。」とラビに言うと何やら、奥の戸棚からゴソゴソと紙袋を出してくる。

いつも、置いてある歯ブラシの場所と違うのになーと見ていると、目の前に緑色の歯ブラシが突き出される。

「ほれ。」
「へっ!?あっ!!オレのオレンジの歯ブラシはー??」
「あれは、もうだいぶ痛んどったじゃろうが。昼間街に出たついでに買っといたから。」

「やたーっ!!新しい歯ブラシさ!!ありがとー!ジジィ〜!!」

キラキラした目で新品の歯ブラシの毛先をそっとさわる愛弟子につと、頬が緩みそうになる。
そんな思いを抱きつつ、「コムイのとこに行くのじゃろうが!」と部屋から尻をたたいて追い出した。





コムイの部屋に行くと、もう歯ブラシを手に持ったユウとリナリーが待っていた。
ユウが赤い歯ブラシで、リナリーがピンクの歯ブラシ。ちなみにコムイもなぜかピンクの大人用の歯ブラシ。
コムイの歯ブラシはやっぱりオレらのより全然大きい。大人って感じだ。

「はいっ!みんな集合したねー!今日は何日でしょうかーーー??」

「6月4日!!」
「6月4日・・・・・?」
「ろくがつ・・・・」

オレは毎日ジジィと新聞読んでるから、新聞にのってる日にちを見てるから自信満々に答えられた!
リナリーは自信なさそうで、ユウは・・・・6月ってことは、わかってるんさね・・・・・。

「はい!正解です!ちなみに、6月4日は『虫歯の日』です!」

「なんでさ?」
「なんでだ?」

オレに続いて、2人もキョトンとした顔をしている。
虫歯の日なんて、虫歯になりましょうー!!っていう日なんて、ありそうもない・・・・。

「実は、今日の64という字は虫歯の『ムシ』と読む事ができるから、虫歯を予防しましょうーって日なの。」

「そうなんだ。兄さん。」
「ムシ・・・・『バ』はどこいったんだ?コムイ?」
「ムシの日の方が語呂がいいさー!」

「とっとにかく!!口の中には、こーんなばい菌がいて、皆を虫歯にさせちゃうから、しっかり歯磨きしないとね!!」

コムイはジャンッと得意げに紙にばい菌みたいな絵を描いたイラストを持っている。
変なひょろっこい、ツノをはやした動物がヤリを持っている。

うーん。手描きなんだろうか・・・?
リーバー、最近忙しそうにしてたのに、コムイこんなイラストとか描いてて大丈夫なんだろうか?
あんまり、上手くないけど・・・。
だいたい本で読んだ虫歯の元のミュータンス菌はこんな変なヤリなんて持ってないし、手足も生えてない。

オレが怪しそうな顔で見ていたのに気づいたのが、コムイが慌てて、紙を後ろに隠す。

「虫歯にならない為には、歯磨きが一番大事だから、今から、3人とも磨いてみてー。」
「まだ、お昼なのに?」

リナリーが不思議そうに聞く。
確かに、ジジィも朝と寝る前に歯を磨けというけど、こんな昼間に磨けって聞いたことはない。

「うん。僕が歯の磨き方を説明するからね〜。その前に、いつも皆がしっかり歯を磨けてるかテストするから。」

テスト!という言葉にオレら3人は一斉に、歯ブラシを動かす。
ジジィに内緒で甘いものとか、ユウが食べなかったオヤツを食べてるから、虫歯になっていないかは、かなり心配だ。
虫歯がいっぱいあって、オヤツ禁止とか言われたらどうしよう・・・・。

ユウ負けず嫌いだから、思いっきり力を入れて、歯磨きをして、「神田くん!そんな力入れなくていいんだよぅっ!!」とコムイに止められている。

ひとしきり磨いたら、うがいをさせられて、一人一粒ずつ赤いタブレットを渡された。

「みんなご苦労さま〜。この赤い錠剤を奥歯で噛んでね。噛んだら、歯全体にこの液がつくように舌で上手く塗ってね。」

恐る恐る赤い粒を口の中に入れて、カリッと噛み砕く。
おっ・・・ちょっと甘くて、おいしいさ。
唾液も一緒に出てきたので、上手く使って奥歯や前歯まで舌を使って動かす。

隣のユウも舌を動かしてるらしく、少しむつかしい顔をむぐむぐとしてるところがかわいい。


「できたかなー?みんな口を軽くゆすいでから、鏡見てね〜。」

口をゆすぎ、渡された手鏡で、口の中を覗くと吸血鬼みたいに真っ赤だ。
ビックリして、ユウを見ると、ユウも口の中が真っ赤で絶句してる。

「コムイ!なんだこれ!口の中赤いの全部虫歯なのか??」

ユウが珍しくビックリした声をだしている。
こ、こんなに虫歯があることがジジィにバレたら、絶対殺される!!

「いやいや、違うよ〜〜。これはね、よーく見てみると、特に濃い赤い部分があるでしょ??」

赤い口をしたコムイが自分の口を大きく開いて見せてくる。
たしかに、全体的に赤いけど、歯の隙間とか、くぼみがとくに赤くなってるような気がする。

「この特に赤い部分が磨き残しだからね。しっかりこれが落ちるまで磨かないと、虫歯になっちゃうよ〜!」

そう言って、コムイは赤い口を広げて、ニヤーッと笑う。
うう・・・、なんか吸血鬼みたいで、ほんとに怖いさ・・・・。

それから、コムイは歯ブラシの持ち方や、歯の当てる方向、磨き方を教えてくれた。
赤い部分を落とせばいいから、結構楽しい。

「はい!じゃぁ、仕上げは大人の人にやってもらってね〜。自分じゃ見えにくいトコがあるから。」

そう言うと、コムイはささっとリナリーに膝枕をさせて、にこにこしてる。
ホントは、歯磨きうんぬんより、こっちの方がやりたかったんじゃないだろうか・・・・。

リナリーは、コムイの仕上げの歯磨きをしてるから、必然的にオレとユウがペアになった。
二人とも大人じゃないけど・・・・・、ユウの膝枕にコロンとできるなんてめったにないから、嬉しい。

膝枕が気持ちよくって笑いながら、ユウの顔を見上げると、ユウが「口の中真っ赤だ!」と笑い出す。
そんな笑うユウの口も真っ赤・・・・。笑う小さい口が真っ赤でかわいい。

ユウはコムイにやり方を聞きながら、オレの歯を磨いてくれる。
なんか、人に歯磨きをしてもらうって、いつもと違うななめ上の角度から、歯ブラシを当てられて気持ちいい。
ユウに時々唇を触られるのも、ドキドキする。

コムイが「はい、おしま〜い。」と言われてちょっと残念だった。




6/4〜6/10までは、歯磨き週間にするらしく、4日から10日までの小さいカレンダーをもらった。
一週間ぶんの赤いタブレットも一緒にもらう。
キチンと歯磨きしたら、コムイが日付にスタンプを押してくれるらしい。

「この6の日、俺誕生日だ。」

ユウが6/6を指しながら、言う。

「えっ!?ほんとさ??」
「神田、もう自分の誕生日覚えてるんだすごーい!私まだ覚えてない・・・。」

「あ!そうだね〜。神田君は月も6だし、日にちも6なんだよね〜。」

コムイがポンポンとユウの頭を撫でる。そして、ユウのカレンダーにロウソクのついたケーキの絵を描き込んだ。
ユウの誕生日がいつか、知らなかったさー!明後日かー。
いつも、突然大人たちがお祝いしてくれるから、気がつかなかったさ!!

プレゼント!プレゼント!!と必死で、考える。今年こそは何かプレゼントを前もって用意したい。
うーんっ!と頭を悩ませていると、「神田くん歯ブラシだいぶ痛んだよね〜。新しいのに替えようか?」という天の声、いや、コムイの声が聞こえた。






6/4からは、ユウと一緒に歯磨きするのが、習慣になっていた。
朝と夜の二回ずつ。最後の仕上げの磨きあいっこが楽しい。

6/6の朝は、ワクワクして、ユウが食堂にくるのが待ちきれずに部屋まで突撃しにいった。

「ユウー!!誕生日おめでとうさー!!」
「お・・・おお!!さんきゅ。」

ユウはちょっと照れたように言う。歯磨きカレンダーには4日と5日にスタンプが押されてるから、今日は6日で間違いないはずだ!!
ほんとは、もっと後で渡そうと思ったのだが、待ちきれずに、ユウに包装紙で包まれたプレゼントを渡す。
さっき、走って来る時に、ギュウゥって握りすぎて、ちょっとクシャクシャになってしまったが・・・・。

「これね!これね!!プレゼントなんさ!」
「ラビ、プレゼントくれるのか?」
「うん!うん!もちろんさ!!ねねっ!開けてみてさ〜!!」

もらったユウよりもオレの方がワクワクしてしまって、ユウの手元を覗き込む。
ユウはすごい大切そうに、そっと包装紙をはがしてくれて中からでてきたのは、青色の歯ブラシだった。

青い歯ブラシの持つところには、「YUU」と文字が彫ってある。
その文字をユウは少し撫でて、ポカンと口をあける。

「俺の名前が書いてある!!」
「うん。お店で書いてもらったんさ〜!オレの歯ブラシも「LAVI」っていれてもらった!!」
「すげー!!ありがとう、ラビ!俺、青い歯ブラシすげー欲しかったんだ!!」

うん。知ってる。実は、コムイがほんとは新しい歯ブラシを用意してたのだが、
コムイに「ねー!ユウの誕生日プレゼント、歯ブラシあげたいから、ちょっと待って!!」と頼み込んだのだ。

コムイは快く、承諾してくれて、「神田くんね、今の赤い歯ブラシは女の子みたいで嫌なんだって。」ってヒントをくれた。
いつも、ユウの歯ブラシは、リナリーとお揃いで買うから、黄色や赤になるらしい・・・・。

ジジィに頼み込んで、昨日街に連れて行ってもらったら、お店の人が名前を彫ってくれた。
いいなーって思ってたら、ジジィがいつの間にか、オレの歯ブラシを持ってきていて、オレの名前も彫ってもらったんだ。


その日は、何回も何回も2人で歯磨きをして、2人揃ってコムイに「あーっ」って口を開けて、見せに行った。
コムイは、「もう花丸以上つけれないよ〜!」って笑ってた。









「ユウー!誕生日おめでとうさ〜!!」

「ノックくらいしろ・・・・。」

あれから、何回もユウの誕生日を重ねてるのに、毎回ユウの誕生日はワクワクして早く目が覚めてしまう。
相変わらず食堂で、待てずにユウの部屋に突撃。

オレがどれだけ早く来てもユウは団服をきっちり着込んでて流石だなぁ〜って思う。
でも、鍛錬行かずに、部屋に居てくれるのはオレを待っててくれるんかなぁと自惚れてみたり。

「ユウ・・・。誕生日プレゼント!」

毎年恒例となった、歯ブラシのプレゼントをユウに渡す。
最近は、歯ブラシの他にもアクセとかプレゼントしたりもするけど、歯ブラシは絶対必須!
だって、ユウは自分で買ったりしないしね・・・・。

昔と同じように、安っぽい包装紙なのに、丁寧に開けてくれるユウの手元が嬉しくなる。

「ラビ、いつもさんきゅーな。」

ちょびっと照れたようにお礼を言うユウ。
そんなユウを見るだけで、なんか胸がキューッってなるくらい嬉しい。

あ!と思い出して、ポケットをごぞごぞと探る。

「ねー、ユウ!コムイからコレもらってたんさ!」

ほい、と手のひらに載せたのは、赤いタブレット。
懐かしい・・というように、ユウが一粒手に取る。
子供の時は、毎年歯磨き週間になると、毎日赤いタブレットで歯垢がついてないかチェックしてたが、いつの間にかその習慣もなくなってた。

だから、コムイが歯垢染色剤を持ってて、つい懐かしくて、もらってきた。

子供の時は、口が真っ赤になるのがおかしくて、二人で、「イーッ!」って口の中を見せ合って、笑いあっていた。
一度、白いシャツに赤いのがついてしまって、ジジィに怒られたっけ・・・・。

「ユウー!久しぶりだし、やってみようさー!」

そういって、赤い錠剤を口に放り込んでカリッと噛み砕く。
少しだけ甘いような味が口のなかに広がった。

「お前、普通歯を磨いてから、それやってなかったか?」

「あ・・・・。」

忘れてた。コレは、磨き残しのチェックをする為だった。
ユウは呆れ顔で笑ってる。
そんなユウを見てたら、ちょっと悪戯心か沸いてきた。

「これ、そーいや、舌で歯全体に塗らないといけないんだっけ?」
「あ・・・・・?・・・っぅわ!」

キッチリ着込んでるユウの団服の襟元を掴んで、強引にキスをする。
突然だったから、ユウの口は半開きで、するりと意図も簡単に舌をすべりこませられる。
オレを押し戻そうとするユウを無理やり抱き込んで、逃げないように後頭部もガッシリ押さえ込む。

一度差し入れた舌を2,3度ユウの舌に絡ましてから、ユウの歯列を舌でなぞる。
全部に歯垢染色液を塗らないとね。

たまに、ピクッピクッとなるユウの反応がかわいい。
オレがやっと口を離すと、ユウはハァッハァッと苦しそうに息をつき、赤く染まった唇がいつも以上に扇情的だ。

「・・・・・ボケッ!お前・・・っとに最悪。」

力が抜けたように、ベッドに腰掛オレを睨みつける。
うーん。そうされると上目遣いだから、余計かわいいんだけど、ユウはわかってないなぁ。

「えへへ・・・・。いーじゃんさ!ユウー!子供の時みたいで懐かしいでしょ!?」
「アホか!子供の時はお前はあんなエロガキじゃなかった!!」

プンプン怒ってるユウの隣にトスンと腰をかけ、そのままコロンとユウの膝に頭を乗っける。
膝から、見上げるとユウの顔は思ったより怒ってないみたいだ。

「ユーウ。昔みたいに、仕上げの歯磨きやって〜!オレ、ユウに歯磨きされるの好きー!!」
「子供じゃねぇんだぞ?いくつだよ。お前?」
「いーじゃんさ!お願い!」

ハァッとユウは呆れ顔で、オレがユウの部屋に置きっぱの歯ブラシを手に取る。
その時は影になって、ユウの悪戯っぽそうな顔に気がつかなかった。

「おしっ!!じゃぁ、思う存分やってやるよ。」

腕まくりをしてニヤリと笑うユウ・・・・。

「・・・・・ゴホッ!」
「・・・・・グェッ!!ユウ!!喉につかえる!!やめてー!!」
「お、奥に!奥に入れすぎさー!!」

教団のまだ静かな朝の廊下にラビの悲鳴が響きわたった。と同時にあらぬ噂も広がったとか・・・・。