「ジャジャーン!!なんとっ!!ついに出来上がりました!タイムマシーンッ!」

ジャカジャカジャカジャカと間抜けな効果音を自分の口で演奏し、目の前の変態科学者は機械にかぶせてあった目隠し用の布を剥ぎ取った。
目の前に表れたのは、どう見ても、ドラム式の洗濯機。

このところ続いていた、不愉快な気分が最高潮になり、六幻を持つ手がプルプルと震える。

傍らに立つ、リナリーやラビ、モヤシが、『おお〜』と感嘆の声を上げている。
唯一、リーバーだけが、仕事しろよ・・・・とゲンナリした声で呟いているが・・・・。


「すごいさ、コムイ!!これで、時間旅行ができるんさっ!?」

「フフフ、僕に不可能はナァーイッ!!このタイムマシーンに乗れば、過去のどんなところにも行けちゃうという優れもの!!」

ああ〜、こんな才能溢れる自分がコワーイっと一人クネクネと酔いしれていやがる。
いっそ、ここで、このふざけた機械と発明者をぶった切ってやろうか?と六幻に手をかける。

そこに、ポンポンと腕を引かれ、何かと見れば、リナリーがニコニコした顔で、こっちを見ている。

「よかったね。神田。」

邪気のない顔に言い返す事ができない。引きつった顔で「お、おお・・・。」と答えてしまう自分を呪った。









――ーヒーロー HERO!!





こんな事になったのも、3日前。

ラビがものすごい真剣な顔をして「付き合ってほしいさ!」と言ってきた。
その日俺は気分が良かったから、深く考えずに「おお。」と了承の返事をした。

俺は、てっきりどこかに行くのについて来てくれか、力仕事を手伝って欲しいという意味で理解したのだった。
ところが、次の瞬間ラビがすごい力で俺を締め上げ(ラビ曰く、抱きしめたらしいが)リナリーの前に、突き出された。

「リナリー!告白成功したさっ!!」

ラビの食堂での大声で、俺はやっと、付き合ってほしい=恋人になってほしいという事だと理解した。
あわてて、否定しようにも周りはザワザワとコッチを見てくる。

「よかったね!ラビ。神田!あたしずっと前から2人はお似合いだなって思ってたんだよ。自分の事みたいに嬉しい!!」

満面の笑みで言うリナリーに、男がお似合いっておかしいだろ、とか相談されたんなら、その時点でラビを止めろよ・・・とか
ツッコム言葉が出てこず、顔が引きつった。

リナリーの矢継ぎ早の質問も、否定できなかった一因だが、何よりラビの笑顔が俺を否定する心を鈍らせた。

コイツの事嫌いじゃねぇし、まぁ、女好きのラビだから、その内あきるだろ・・・と腹をくくった。



次の日、ラビに急かされて、俺は執務室にいた。
ラビは、二枚の紙きれをコムイに突きつけている。
ソレは、『有給休暇届』。

・・・・・そんな制度、教団にあったか?
疑問を抱く俺を余所にラビはコムイにかけあっている。

「だ・か・ら、有給ー欲しいさ!!」

「そんな事言われても、教団も人不足だし・・・・。1週間も2人に有給があげられないよぉ〜。」

「エー!!ユウも何か言ってさ!!2人の新婚旅行なのに!コムイが有給くれないんさ!!」

はっ?おい、新婚旅行ってなんだ?しかも、コイツ今、2人って言ったか?
有給届には、しっかりと俺の名前まで記入されている。

まさかとは思うが、コイツ・・・・。

「ひどいさ!コムイっ。オレとユウが結婚すんのに何で祝ってくんないんさ!!」

「オイッ!誰が結婚すんだよっ!!」

コイツ、どこまで先走ってやがる。これは、早いトコ付き合うっていう誤解とかねぇと。
俺が内心焦っていると、ラビはハッとしたような顔になる。

「ゴメンさ。ユウ・・・。結婚って言うのは、行く行くの話で、ちゃんと段階踏むから・・・。」

ラビは泣きそうな顔で、俺の肩を掴む。
そんな、泣きそうな顔されると、まるでコッチが悪いみてぇじゃねぇか。
俺が言葉につまっているとコムイがのん気な声をあげる。

「うーん。まぁ、一週間もあげられないけど、何日かなら、調整するけど。」

コムイが、ラビの長年の片思いが叶ったんだもんね、と笑顔で言う。
リナリーにしろ、コイツにしろなんでラビが俺に片思いしてるって知ってるんだ?
知らぬは本人ばかり・・・・、という状況か。

はぁ、とため息をついていると、ラビがホント?と顔を輝かせる。

「ラビ達は、ドコに旅行に行きたいんだい?」

「えーっと、具体的には決めてなかったんだけど、オレもユウも任務で色んなトコ行ってるから、行った事ないトコ行ってみたいんさ!」













それで、現在に至る。
行った事が無い所。じゃぁ、過去とかは?とコムイが言い出して、ラビが興味を示すと、2日くらい待ってーと言いやがった。
まさか、ほんとにタイムマシーンとかふざけた機械を作るとは。

そんなんやる暇があったら、仕事してやれよ。
リーバーのやつれ具合ひどくなってやがんぞ。

「でも、ほんとに、過去に行けるってスゴイですね。」

モヤシが、大量のクッキーをパリパリ食べながら言う。
人事だと思いやがって。食い物を食いながらしゃべるな!!

「アレンも俺らが使った後、行くといいさ!クロス元帥の借金とか無かったことにできるかもよ?」

「マヂですか!!先に使ってもいいですか?」

「こらこら、アレンくん。歴史変えちゃダメだよ。タイムマシーンの鉄則でしょ〜。」

くそう!残念。とモヤシが歯軋りしている。
タイムマシーンは、少し大きなドラム式の洗濯機で、まさかこんなものでほんとに過去にいけるなんて思えない。
それをやすやすと信じている馬鹿たちになんと言ったらいいのか、分からない。

「とにかく!!俺は行かねぇぞ!こんな洗濯機がタイムマシーンなわけあるか!!」

「ええー!?神田くん!これは、本物だよっ!ホラッ、映画でもこういう奴あったでしょ!?」

「そうさ!ユウー!引き出しだけが、タイムマシーンじゃないんさ!!絶対思い出に残るから、行こう!!」

2人して、必死な顔で抗議して来やがって、ラビに至っては、俺の肩を掴んで、ユサユサとゆさぶる。
リナリーもモヤシも人事だから乗り気なのか、元々お祭り好きなのか、機械をさわりながら、キャッキャッとはしゃいでいる。

「ってか、もう機械作られてるんだから、いい加減、腹くくったらどうですか?」

馬鹿にしたように言うモヤシにピキッと青筋が走る。
コイツ前々から思ってたが、今日こそぶった切る!!

六幻に手をかけるとリナリーが目の前に立ちはだかった。

「もう!!ケンカしちゃだめだよ!!せっかくの旅行の前なんだから!」

と言って、デコピンされる。リナリーには手を上げる事ができないからググッと歯を食いしばる。
ラビは上機嫌で、コムイからタイムマシーンの使い方を聞いていた。

「2人ともどこ行くか決めた?」

「えっ・・・・、やっぱりそれはっ!!」
「・・・・織田○長に会いたい。」











俺の織田○長に会いたいという願望はあえなく仮想19世紀だからという大人の事情であえなく却下された。
結局ラビの「ユウの子供時代に会いたい!!」という希望になった。

コイツ、ブックマンの端くれなんだから、何か歴史が見たいとかにしとけよ・・・。
むぅ、と膨れながら、タイムマシーンに入るのをためらっていると、リナリーが後ろから蹴って押し込みやがった。

狭い洗濯機の中の様なところで、ラビと2人ギュウギュウに詰められる。
何が悲しくて、男2人でこんな狭い中に入らなければいけないのか・・・。

げんなりしていると、洗濯機が回転しだし、浮遊感に襲われる。
胃がせり上がってくる感覚に襲われ、あまりの気持ち悪さに意識を失った。










気がつくと教団の庭にいた。

「どこが、タイムマシーンだ。コムイの野郎!!」

執務室に戻って、奴をぶった切ってやる、と怒りに燃える。
側にラビが居ない事をみると、飛ばさされたのは俺だけなんだろう。

教団に戻ろうとすると、黒い影が急に飛び出してきて、膝の辺りに軽い衝撃が走る。

「気をつけろっ!!馬鹿っ!!」

甲高い抗議の声が聞こえ、見たことのあるような黒髪でおかっぱの子供が走り去る。
背には、六幻とよく似た刀を背負って。

ん・・・・?アイツどっかで見たような気が・・・・。
思い出そうと記憶を掘り起こしていると、どこかで聞いた声が聞こえる。

「ユウ〜〜〜〜!!待ってさー!!一緒に鍛錬しよ〜っ!」

ポテポテという音と共に少し大きそうなブーツを履いた赤髪の男の子が走ってくる。
俺を見て、一瞬目を丸くしたが、先に走っていった子が気になるのか、何も言わずに走っていった。

目が合って、すぐに分かった。あの隻眼の・・・というか、あの緑色のたれ目はラビ・・・・?
ユウと言ってたし、イヤ・・・・まさか。
俺ってちっさい頃、髪短かったような。

もしかして、タイムマシーンにのって、過去に行くというコムイの言葉は本当だったのか?


「マジかよ・・・。」

誰も聞くことの無い言葉を呟いた。









とりあえず、さっきの子供時代の自分たちが気になったので、後を追ってみた。
教団の庭は、奥に森が続いていて、あまりココは、今と変わりない。

昔は、どこまでも広い森という印象を受けたのだが。
木々をぬって歩いて、いると、目立つ赤い色がウロウロしている。

『歴史を変えちゃいけない』
というコムイの言葉が頭の中で繰り返され、見つからないように、木陰に身を潜める。

「ユウ〜〜〜。ユウーーッ!どこいったんさぁ?」

キョロキョロとアタリを見回し、どうやら小さい頃の俺を探しているらしい。
少し走っては、戻り、少し走っては戻りを繰り返している。

そういえば小さい頃、ラビとなにかと同じ場所に遭遇していたことがあったが、あれは偶然じゃなくて、コイツが毎回追っかけてきていたんだろうか?

「あっ!!ユウーーーv」

小さいラビが子供の俺を見つけたらしく、嬉しそうに走りよる。

「おう。ラビ。お前も鍛錬なのか?」

「うん。一緒に、やろ・・・
「俺、これから走りこみする。」

ラビの言葉を最後まで聞かずに子供の俺は、走り出した。
当然、ラビはあわてて、俺を追いかける。

「ユウー!待ってっ」ポテポテと走りながら、必死に後を追う。
ココまで、来たので、なんとなく気になって、ラビ達の後を追った。

俺とラビは狭い抜け道を抜けながら、どんどん走っていく。
森の奥へと入っていき、だんだんと明かりも木々に阻まれて暗くなってきたが大丈夫なのか?
はじめこそ、2人の距離は離れていなったが、ラビのブーツが大きいせいか、だんだんとラビと俺の黒い姿は、離れていった。



ベシャッ

もともと足場が悪い道を走っていたラビは、辺りも暗くなり、足元の根っこに躓く。
そして、思いっきり転んだ。

そうこうしているうちに、木々に隠れて、チビの俺の姿は完全に見えなくなる。

「ユウ・・・・・。」

小っこいラビが心細げな声をだす。
子供の俺は全く、そんな事に気がついてないようだ。というか、ラビが後ろを走っていたことも気付いてないだろ・・・。

ラビは、立ち上がって団服の泥をパンパンと落とすが「痛ッ」と小さく声をあげる。
アレだけの大転倒だから、どこか擦りむくかしたんだろう。

スンと鼻をすすり上げ、俺の走っていった方向を見るが、全く人影が見えない。
そして、カァカァと不気味な鳥の鳴き声と薄暗い森が続いている。

「ふぇっ・・・ユウーッ」

とうとうラビが泣き出してしまう。
泣いてもしょうがないと自分でも分かっているのが、泣きながらトボトボと歩く。

ヒック、ヒックッ、ユゥっ、ウェー

泣きじゃくるのは、勝手だが、どうして俺の名前を連呼する。
側に行き、叱ってやりたいところだが、過去に関わってはいけないと思い、グッと我慢する。

腕で、涙と鼻水を拭いながら、少し小走りにラビは走った。
前見てないと転ぶぞと思いながら、見ていると、またベシャッとこけている。

しかも今度はぬかるみのようだ。
・・・アイツ、子供の時あんなにどんくさかったのか?

「ふっ、ひぃっく、ううー、ユウー。」

もう立ち上がる気も無いらしくしゃがみこんだまま泣き続けた。

しばらくしたら、泣き止むだろうと思っていたが、泣き声は収まる気配を見せない。
それどころか、嗚咽をあげて、泣き声は大きくなっているようだ。
あまりにもイライラして、ついに出て行こうかと足を踏み出す。

「ううー、えっえっ。」

「ラビッ!!どうした??」

俺より、一瞬早く子供の俺が姿を見せた。
しゃがみこんでいるラビを覗き込む。走りこみを続けていたらしく、息を切らしている。

「どうしたんだ!?ラビ?敵かっ??誰かにイジメられたのか?」

「ユウー!!ふっうぅ。」

泥だらけのままラビは子供の俺にしがみつく。
子供の俺は険しい目つきで周りを見回す。
イヤ・・・ソイツお前を追ってて、転んだんだよ。と言ってやりたいが、そうはいかない。

「ラビ。もう大丈夫だから、泣くな。どっか痛いのか?」

「ひぃっく・・・・・足・・・・。」

「足挫いたのか?」

子供の俺はしゃがんでいるラビを立たせて、ポンポンと頭を撫でる。
少し考えるような顔をして、何か思いついたのかラビに六幻を持たせた。
そして、ラビに背を向けてしゃがむ。

ほら、という声で、ラビは俺の背に負ぶさった。
いつの間にか、ラビの涙は乾いている。

子供の俺は最初は、おぼつかない足取りだったが、しっかりとラビを背負って歩き出した。






小さい頃の自分達を見ながら、なんでアイツはこんな姿を見たかったのだろうと思う。
ただ、俺たちは、小さいだけで・・・・。
俺は、覚えていなかったがブックマンのアイツならきっとこのことすら覚えているのだろう。

まぁ、たしかに、小さいラビは可愛くなくはないが・・・・。



「ねぇ、ユウー。」

「なんだ?」

「なんで、ユウはオレの泣いてるのすぐに分かるんさ?」

小さい俺の肩に揺られながら、ラビが聞く。
俺はラビの足をヨイショと抱えなおし、ゆっくり足を運ぶ。

「お前が泣き虫なだけだ。」

「えー!!オレ、ジジイと一緒だったら、あんま泣かないさ!!ユウにはいっつも泣いてるトコ見られるー。」

かっこ悪いさ・・・・、と呟いて、ラビは俺の頭に少し膨らました頬をよせる。
鼻水たらしといてよく言うぜと俺が低く笑う。

「なんか、わかんねぇけど・・・・・お前の事は気になる。」

「すごいさーユウ!エスパーみたいさ!」

ラビが俺の背中ニコニコ笑っている。
そのラビに見せないように小さい俺は、顔を歯を食いしばって歩いている。
同じくらいの背格好の人間を背負うのは、まだかなりつらいんだろう。

それがラビにばれないように、しゃべる時はゆっくり息を吐いて、できるだけ短く答えてる。
何やってんだろうな、自分。

だんだんとチビの俺の息は上がってきて、自分の息の音がうるさくて、恐らくラビが小さく呟いた言葉は聞こえていないのだろう。
だって、覚えてないから。

「エスパーじゃなくて、ユウはいつだって、俺のヒーローなんだけどね。」

なんとなくむず痒いような感覚が体を走り、ため息をつく。
なんで、あんな子供の一言が、こんなにも嬉しいのか。


馬鹿馬鹿しい、過去に浸ってる場合じゃなくて早く元の時代に戻る方法を調べなくては。
コムイ辺りを締め上げればいいだろう。

小さな2人の背中をおって、森の出口へ向かうとソコで限界が来たのか俺がラビを下ろす。

出口の前には2人の帰りを心配したのかコムイが立っていた。



「お帰り〜〜。2人とも。随分遅かったねー!!」
「鍛錬してた。」

「そっか。随分遠くまで、行ったの?ラビ、服に泥がついてるね。」」

「うん。こけて、ユウに・・・・
「2人で、森の奥から歩いて帰って来た。」

ラビの言葉を遮って、小さい俺はとっとと教団の中へ入ってしまう。
ラビがその背中を慌てて追いかけ、コムイが「がんばったねー!ご褒美におやつにしよう〜♪」と言いながら教団に入っていった。



あっ、のんびり見てないで、コムイに聞かねーと!!
慌てて、コムイの後を追って走り出した。


ベシャッ

足元がぬかるんでたなんて気付かなかったんだ。
地面と仲良くなりそうな時、視界が歪んで、意識を手放した。











「ユウ!!ユウー!!」

顔を遠慮なく叩かれて、爽やかとは言えない気分で目を開ける。
目の前に広がるのは、よく知る赤色・・・と忌々しい執務室の天井。

「お前、やっぱりでかくなったんだよな・・・。」

ずっと一緒にいるから、変わらない、変わらないと思っていたラビ。
こうしてみると、背も声も俺の体を支えている手も見違えるように成長している。

「はっ?ユウ何言ってんのさー!?やっぱりあの衝撃で、オツムがさらに・・・・
「神田?大丈夫?兄さんの実験失敗してゴメンね!」

ラビを突き飛ばし、目に涙を浮かべてリナリーが顔を覗き込んでくる。
後ろに、コムイらしき残骸が見えるのは、気のせいだろうか。




結局、タイムマシーンは失敗だったらしい。
もともとそんな機械が存在すると信じる方がどうかしていると思うが。

ラビは、気を失わずなんともなかったらしい。
ということは、アレは俺の夢なのか、記憶の中の事なのか・・・・。
なんとなく恥ずかしいので、あの日あった出来事は口にだせないでいる。








「あーあ!ちっこい頃のユウにもう一回会いたかったさー!!」

ラビが外の風に当たりながら、うーんと伸びをしている。
俺らの有給もお預けになって、今はラビと2人で任務に向かっている最中だ。
駅に列車が入ってくるのを確認して、俺は苦笑いをする。

「そんなに、チビの頃を見てなんだっていうんだ。」

「だってー、しっかーり記憶に刻み付けてるけど・・・・」

一瞬、物憂げな表情を見せるラビ。
列車の行き先を確認して、ドアへと歩く。

「一回くらい・・・オレもユウのヒーローになりたかったなー、なんて。」

ボソッと言って、ラビは列車の中へ走って消えていく。
あれだけ、科学班も巻き込んで(後片付けが大変だった)やりたかったことが、そんな事なんて。
リーバーが聞いたら泣くんじゃないか、と気の毒に思う。


――――――そんなの、ずっと前からなってるし・・・・・

間違っても口に出せない言葉だけど。

コンパートメントの席に着くと、若干顔が赤く気まずそうなラビがわざとらしく外を見ている。
荷物を席にドカッと置くとラビがビクッとこちらを見る。
そのままニヤリと口の端を上げて笑ってやった。










「一生、お前のヒーローでいてやるよ。」

















『ユウー!ヒーローって知ってるさ?』

『なんだ?それ。つおいのか?』

『超強い奴なんさ!無敵なんさ!』

『すげー!誰だ?ソイツ?』

『フフフ、実はオレなんさ!ラビパワーマンって言うんさ!』

『ほんとか?ソカロ元帥よりつおいのか?』

『うっ・・・・。ラビパワーマンはユウ限定のヒーローなんさ!!ユウが困ってたらどこでも飛んでいくんさ』

『嘘付け!外国とかに行ってたら、無理じゃねぇかっ!!』

『大丈夫なんさ!!オレのハートはいつでもユウの側に飛んでいくんさ!!だから、ユウはいつも一人じゃないんさ!!』

『じゃぁ、ラビのヒーローはどこにいるんだ?』

『ふふ。ユウがおっきくなったら、教えてあげるさ!!』

『なんだよ、それ!お前の方が年下のくせに!!』










いつだって、君はオレのヒーローで。










ほんとに素敵なフェスタに参加させていただきまして、ありがとうございました!!
仔ラビュ万歳!!幼なじみ万歳!!
大好きな仔ラビュが書けて幸せでした。
空河 直也