――――――オレは、今まさに、天国と地獄を味わっている。














Is here a hell or a heaven?













キューィーン、キュィーン、と嫌な音が響く室内の中、無防備に口をあけ上を向いて寝そべっている。

そう!歯医者に来ているのだ。

キューィーンという機械音は、隣の診察台から聞こえ、今自分のいる診察台はカリカリというアナログな音しか聞こえない。

久しぶりに、歯医者に来て、治療が終わったと思ったら、「クリーニングもやっておきましょう。」という先生の言葉に「はいさ〜。」としたがった。

クリーニングだから、さっと磨いて液体をシュッとかけて終わりだとタカをくくっていたのが、甘かった。



まず、糸のようなもので、歯と歯の間に食い込ませグイグイと力任せに歯茎を押される。

それだけでも、かなり強烈な痛みだというのに、それが、全部の歯の隙間に入れ終わったら今度は、先の細い金具で、歯と歯茎の間をカリカリと掻きだされる。

これが、かなり痛い!!しかも、口を長時間開けてなければいけないので、顎も限界だ。

しかも、口に器具を突っこまれている為、痛さを訴えようにも、声がでない。

いつの間にか、口の中には、血の味がしている。

オイオイ、出血してるんさ?

まさに、地獄とはこの事。

なんで、こんな目に大人しくあっているのか・・・・。

「ハイ、一回口ゆすいでください。」

そう言われて、歯科衛生士さんが、診察用の椅子の背もたれを起こしてくれる。

やっと、口の痛みに開放された事にホッとする。

水が自動的に汲まれたコップを手に取り、グシュグシュとうがいをする。

ベッと吐き出した水を見て、ヒィッとなる。

血が出てるさ!!

「倒しますよ。」

地獄へと呼び戻す容赦ない声がかかる。

うう、と思いながら、すばやく従う。


なぜかって??

だって!!だって!!すっごい好きな感じの人なんだもん!!

歯科衛生士さんの方をチラッと盗み見して、ため息をつく。

キュッと結われた黒髪は高い位置で結ばれ、切りそろえられた前髪はきちんとした性格を匂わせる。

そして、顔はマスクで半分以上隠れているが、マスクから出ている鼻筋はキレイに通っており、目は意思の強そうな光を放っている。

こういうタイプの人は、今まで好きになったことはなかったのだが、なぜかこの歯科衛生士さんには一目見て、キュンと来てしまった。

「あの〜っ」

「何か?」

「血ぃでてたさ。」

「これだけ歯茎が腫れてたら血が出ます。あとで、歯磨きの仕方教えますんで・・・」

「あ、敬語じゃなくて、いいさ!!同い年くらいでしょ!?」

オレがそういうと、黒い瞳はちょっとだけ困ったように笑った。

あ・・・・、笑った顔の方が好きかも/////

「最初は、痛いと思うが、歯茎が引き締まってきたら、痛くなくなるから・・・・」

ぶっきらぼうな男っぽい言い方が、なんか自然体で嬉しくなる。

「そうなんさ?どうやったら、引き締まるんさ?」

「毎日の歯磨きと、歯間ブラシとかフロスで歯間の歯垢ケアしてたら、大丈夫だぞ。」

もっとしゃべりたかったのに、唇に手を当てられ黙ってしまう。

ゴム手袋越しだとは、分かっていても、唇触られるとドキドキするさ。

それからは、またあの地獄の繰り返し。

でも、地獄と天国を味わっているってのは・・・・その・・・・・。

あたってるんさ・・・・。

胸が・・・・・。

イヤ、やましい意味はなくて!!

歯科衛生士さんすごい一生懸命やってくれるから、頭に胸があたるんさ〜!!

口の中は痛すぎるけど、頭はの感触は天国で・・・。

終わって欲しいけど、終わって欲しくないんさ!!

痛みは我慢するから、この美人な歯科衛生士さんに一生こうしてて欲しいさ・・・・。

ちょっと痛みの慣れたころに、「終了だ。」という声で、天国とはお別れ。

名残惜しすぎるさ!!


同じように、口をゆすぐと、やっぱり血が流れていた。

歯科衛生士さんの器具の方を見るとさっき、口に入れていた糸が血まみれの状態で置いてある。

ホラー映像さ・・・。

「歯磨きの指導するから、もう一回寝てくれ。」

診察台を倒される前に彼女の胸のネームプレートを読み取る。

”歯科衛生士 神田ユウ”と書かれていた。

オレが寝っころがると、上から大きな瞳が覗き込む。

キレーな瞳さー、猫目でかわいいさ。

そんな事を考えていると、鏡を持たされ自分の口の中を見せられる。

「まず、いつも磨いているように、やってくれ。」

歯ブラシを受け取り、いつものように磨く。

「それだったら、歯しか磨けてない。歯磨きは歯茎を刺激するものたがら、歯と歯茎の間に寝かせるように歯ブラシを置くんだ。」

そう言うと、オレの手から、歯ブラシを取り見本に磨いてくれる。

すっごい気持ち良いさ〜。他人に歯磨きしてもらうのってこんなに気持ち良かったけ?

思考がトロンとしてきたころに、神田さんは「じゃぁ、自分でやってみろ」と言って、歯ブラシを返した。

オレが磨くと力が強すぎているらしく、神田さんはオレに手を添えて一緒に歯ブラシを動かしてくれる。

赤ちゃんみたいでかっこ悪いけど、めっちゃ今幸せさ!

幸せな時間はあっと言う間に終わり、診察用の椅子から、降ろされる。

「じゃぁ、今日は終了だ。一応、もし来れるんなら、歯茎の状態みたいから、またクリーニングの予約いれといてくれ。」

「え?それって神田さんがやってくれるんさ??」

急に名前を呼ばれたので、怪訝な顔をする神田さんに、ネームプレートを指差す。

「俺以外にも歯科衛生士いるから、他の奴でもいいぞ。」

「神田さんが、いいさ!クリーニングってどれくらいで来ればいいんさ?」

もう、神田さんがいるから、クリーニングに通おうと決意していた。

週一回くらいは通いたいさ〜と思っていると、「年に2、3回」という答えが帰って来た。

「えっ?そんなに少ないんさ!?」

「まぁ、次回は二週間後くらいに来て欲しいが、あとは二ヶ月に一回くらいが理想だな。でも、まぁ年2、3回でもいいと思うけど。」

神田さんに会いたいのに、二ヶ月に一回は少なすぎる。

どうやって、仲良くなればいいのか。

ションボリとしていると、神田さんが荷物を渡してくれる。

そのポケットから、はみ出たものをみて、コレだ!と思い出した。

「神田さん。ここ、オレのバイト先なんだけど、めっちゃ料理うまいんさ!!ランチもやってるし、一回来てみてさ!!」

そう言って、バイト先の多国籍料理『ジェリー』のクーポン券を手渡す。

神田さんは、ちょっと困ったような顔で受け取った。

「そこ、メニューってあってないようなものだから、言ったらなんでも作ってくれるし、ほんと一回来てね!」

ニコッと笑っていると、会計の方から、「ラビさ〜ん。」と呼ばれる。

残念、時間切れさ。

会計の方へ行けと促す神田さんにコレだけは言っとかなきゃと思って耳打ちする。

耳打ちが終わると神田さんは真っ赤になって、口をパクパクさせる。

「ほいじゃ、二週間後またよろしくさ〜♪」

そう言って、会計をしに走っていった。







絶対!絶対!!二週間の間にキミを夢中にさせるさ!!































(あのね、神田さん。変な意味じゃないんだけど、クリーニングしてくれるとき、その・・・・胸っあたるんさ。

気をつけた方がいいさ!ほんとに、変な意味じゃないんだけど、ごめんさ!!)












――――――だって、キミのおっぱいは誰にもさわらせたくないんさ!!































4000HITリク詩乃さまへ
「現代パロラビュ嬢」ということで・・・・・。

遅くなった上に、こんな駄文でスイマセン!!
ちょっと続編も考えてるんで、もし良かったら、また遊びにきてください〜

リクエストありがとうございました!!